種苗は管理・評価・分析の基本的な枠組み

uwotechは魚の生産管理を生簀単位だけでなく、種苗単位や魚種単位でも行えるようにすることで、それぞれの関係者が一番知りたい粒度で生産性や採算性を把握できるようにすることを重要な目標のひとつに置いています。ここを重要な目標と考えているのは3つの理由・背景があります。

<aside> 🤔 種苗を管理するべき理由

  1. 生産規模が大きくなると、生簀単位では管理しきれないから
  2. 生簀単位だけだと各生簀の生産性や採算性を評価しづらいから
  3. 年度別や種苗別など分析の時に便利だから </aside>

1.管理のしやすさ

10~20台程度で養殖をしている場合はそこまで気にならないかもしれませんが、その規模を超えてくると無視できなくなってくるのがこの「管理のしやすさ」問題です。心理学や神経学の世界では人間が同時に識別・把握できる数は4~5つが上限であると一般的に言われます。つまり現場のスタッフ・作業員は毎日生簀ごとに記録をつければいいわけですが、それでは品質管理部のような管理部門の方や経営者の方にとっては「細かすぎてよくわからない」わけです。生産管理データは付けることが目的ではありません。分析することも目的ではありません。重要なことは養殖の日々の生産データを活用することで養殖の意思決定をよりよいものに変えていくことです。

2.評価のしやすさ

海の環境は日々変わりますし、各生簀の魚群によって魚病の発生状況や成長性なども変わるため、生簀にいる魚群単位での管理だけでは全体像が見えづらく、「結局よくわからなかった」というありきたりな結論で終わってしまいがちです。また分養や統合、移動によってどこの生簀にどの種苗が入っているかという情報も日々変わっていきます。そのため生簀単位での評価は個別性が高く、養殖場の生産状況を俯瞰して捉えづらい傾向があります。増肉係数や原価などの指標で生産性を評価したり、生産計画を検討したりするときは生簀単位ではなく、種苗単位で検討する方が全体感が掴みやすいのです。

3.分析のしやすさ

養殖のデータを活用するときに分析作業を行うことは多いですが、その際ポイントになるのは「どの軸で比較するか」です。変数が多すぎると適切に比較ができないため、影響を受けやすい変数は揃えておくというのが重要です。養殖業の生産性や採算性に影響を与える変数は大きくは以下の4つがあります。種苗は生産性や採算性を大きく左右する変数の1つなのです。

  1. 種苗
  2. 使用する投与物…エサ・栄養剤・医薬品
  3. 給餌や投薬のやり方
  4. 環境

たとえば、種苗の軸を固定できる(同じ種苗だけに絞る)と飼育試験の結果や各生簀の生産性を分析ができます。また逆に種苗を比較の軸として考える場合は、過年度データとの比較や同年度の他の種苗との違いが分析できます。

種苗に名前をつけて管理しよう

そこでuwotechが採用している概念が「種苗名」というものです。池入とは種苗を養殖場に導入する作業ですので、池入時に種苗名を一意に決め、以降の養殖期間ではこの種苗名を分養や統合をしても引き継いでいくことになります。種苗ラベルは自動で発番されますが、自由に変更ができます。ただし同一の魚種内で重複したり、空欄にすることはできません。自動発番ルールは以下のようになっています。

<aside> 💁🏻‍♂️ 種苗名の自動附番ルール

重複しないこと以外にルールはありませんので、自社内で運用している種苗の命名ルールがあるようであればそちらの名称を使って頂いてかまいません。